鼻整形を考えたとき、「プロテーゼは危険なの?」「自分の軟骨を使ったほうが安全?」「人工物は将来取り出さなければいけないの?」といった疑問を持つ方は多いと思います。
最近では、人工物を使わず、自分の組織だけで鼻を整える手術も注目されています。
では、人工物と自家組織(自分の体から採取した組織)は、どちらが優れているのでしょうか。
結論からいうと、<どちらか一方が必ず優れているというわけではありません。>
大切なのは、それぞれの特徴を理解し、鼻のどの部分に、何のために使うのかを考えることです。
今回は、鼻整形で使用する人工物と自家組織について、できるだけわかりやすく説明します。
鼻整形で代表的な人工物は「シリコンプロテーゼ」です。
シリコンプロテーゼは、医療用のシリコンで作られた材料で、主に鼻筋を高くしたり、形を整えたりするために使用されます。
人工物という言葉に不安を感じる方もいるかもしれませんが、医療の世界では人工物はさまざまな治療に使用されています。
鼻整形でも、適切な場所に適切な方法で使用すれば、有効な選択肢のひとつです。
人工物の大きなメリットは、自分の体の別の場所から組織を採取する必要がないことです。
例えば、自分の肋軟骨を使う場合には胸に傷ができますが、プロテーゼではその必要がありません。
オーダーメイドでは必要な高さや形に合わせて加工しやすく、鼻筋を比較的はっきりと細く高くしたい場合にも適しています。
一方で、人工物は体にとって異物であるため、感染や位置のずれ、皮膚への負担などに注意が必要です。
特に、皮膚の薄い部分では、長い年月の間に形が浮き出たり、皮膚に負担がかかったりする可能性があります。
また、感染などの問題が起きた場合には、人工物を取り出す必要が生じることもあります。
ただし、<人工物を入れたら必ずトラブルが起きるわけでも、何年か経ったら必ず交換しなければならないわけでもありません。>
問題がなく安定している場合には、そのまま長期間使用できることもあります。
自家組織とは、自分の体から採取した組織のことです。
鼻整形では、主に耳の軟骨、鼻の中にある軟骨、肋骨の軟骨などが使用されます。
これらはすべて自分の体の一部なので、人工物とは異なる特徴があります。
自家組織のメリットは、自分の体の組織を使用できることです。
人工物のように長期間たっても感染のリスクを心配する必要がほとんどありません。
自分の組織だからといって、問題がまったく起きないわけではありません。
まず、軟骨を採取するための手術が必要になります。
耳から採取する場合には耳に、肋骨軟骨を採取する場合には胸に傷ができます。
感染のリスクもゼロではありません。また、ボリュームの減少がありえます。
<自分の組織だから絶対に安全、という考え方は正しくありません。>
ここが、鼻整形を考えるうえで特に重要なポイントです。
鼻はひとつの小さなパーツですが、鼻筋と鼻先では求められる役割が違います。
鼻筋を高くするためには、ある程度の高さと、滑らかな形を作る必要があります。
このような場合、シリコンプロテーゼは有効な選択肢です。
一方、自分の軟骨を使って鼻筋を高くすることも可能です。
ただし、大きく高さを出すためには十分な量の軟骨が必要となり、採取する場所の負担も考えなければなりません。
シャープさやより十分な高さを求める場合は人工物に利があります。
自然さや長期的安全性を求める場合は自家組織に利があります。
鼻整形では、使用する材料ばかりが注目されることがあります。
しかし、私は材料の選択だけで鼻整形の良し悪しが決まるとは考えていません。
例えば、鼻先を高くしたいという希望があっても、本当に必要な変化は人によって異なります。
少し形を整えるだけで十分な方もいれば、鼻先を支える構造からしっかりと作り直す必要がある方もいます。
必要以上に大きな手術を行えば、採取する組織も増え、体への負担が大きくなります。
反対に、十分な支えが必要な鼻に対して簡単な処置だけで済ませようとすると、希望する形が得られなかったり、後戻りが起きたりする可能性があります。
<重要なのは、必要な変化を見極め、それに見合った材料と手術方法を選ぶことです。>
「自分の軟骨なら一生安心ですか?」という質問をいただくことがあります。
自分の軟骨は、移植した場所で安定すれば長期間にわたって形を保つことが期待できます。
しかし、手術直後の形が何十年もまったく変わらないと保証できるわけではありません。
軟骨そのものの変化だけでなく、皮膚や周囲の組織も年齢とともに変化します。
これは人工物を使用した場合にも共通することです。
鼻整形では、手術直後の見た目だけでなく、長い年月が経ったときのことも考える必要があります。
当院では、鼻を単純に高くすることだけを目標にはしていません。
顔全体とのバランスを考え、鼻が不自然に目立たず、その方の顔になじむことを大切にしています。
そのためには、人工物と自家組織のどちらが優れているかという議論だけでは不十分です。
鼻筋を整えるのか、鼻先の形を変えるのか、鼻の長さを変えるのか。
また、どの程度の変化が必要なのか。
こうした点を丁寧に見極めたうえで、使用する材料を考えます。
自分の軟骨を使う場合にも、必要以上に多く採取したり、必要以上に鼻先を強く固定したりすることが、必ずしも良い結果につながるとは限りません。
鼻の状態によっては、比較的小さな手術で希望に近づけることもあります。
<鼻整形で大切なのは、人工物を使わないこと自体ではなく、無理のない方法で、自然で長く付き合える鼻を目指すことだと考えています。>